エアブラシはデリケートな道具でして、ほんの些細な事で調子が悪くなってしまいます。調子の悪くなる原因は色々とあって、すべての原因を解決する事が出来ません。実際製造メーカの方も2割程原因が分からないそうです。
8割が原因追及すれば直せますので、分かる範囲でお伝えしようと思います。
塗料が出ない
塗料が出ない、詰まるなどの対処方法です。
エアー圧が低い
まずはここを疑いましょう。正常な空気圧にセッティングして下さい。通常な機種ならエアー圧は0.2~0.3MPa程です。
塗料が濃い
希釈剤を入れて正常な粘度に調整して下さい。
ニードルの汚れ

エアブラシを使っているとニードルの先に塗料が溜まって来ます。特に細い線を描く時には溜まり易いです。
ニードルの掃除は100円ショップで販売しているメラニンスポンジがお勧めです。

メラニンスポンジを小さな容器に詰め込んで、希釈剤をなみなみと浸します。

そこにニードルをプスプスと刺すと、ニードルの汚れが簡単に落ちます。
ノズルキャップの内側とノズルが汚れている
ノズル回りとノズルキャップの内側に塗料が付着していて調子が出ない事が多いです。エアブラシスクールでも授業中生徒さんのを何度も掃除します。


この部分は負圧で塗料が吸い出されるので、塗料などで汚れていると気流が乱れ、些細な事でも調子が出なくなります。調子が悪くなったら、まずはこの部分の洗浄をしてみましょう。

尖がり綿棒やティッシュを尖らせて洗浄液を付けて清掃します。
ノズルキャップが緩んでいる
意外と盲点なのがノズルキャップの緩みです。ノズルとノズルキャプの位置関係はうまく負圧が掛かる様に調整されています。緩んでいると負圧がうまく掛からず調子を悪くしてしまいます。ノズルキャップが正常に締まっているか確認して下さい。
ノズル内が汚れている又はゴミが詰まっている場合
次に多いのがノズル内の汚れです。線を描く時に塗料が途切れたり、沢山押しボタンを引かなければ塗料が出てこない時などは、ノズルの内部の汚れやゴミの詰まりが原因です。
ノズルにゴミが詰まっていると、エアーだけ出しているつもりでも塗料が勝手に出たりもします。
通常は再度洗浄すれば直りますが、それでも直らない場合はノズルを分解して洗浄します。

ノズル内部の洗浄は、弊社から販売しているエアブラシメンテナンスキットのクリーニングニードルがお勧めです。
まず分解したノズルは洗浄液に数分浸けます。塗料の塊や異物が入っている場合クリーニングニードルで押しやります。
ニードルを押し込み軽く回転させるとノズル内部の壁面を洗浄する事が出来ます。

ニードルで壁面を擦ったら、もう1本のエアブラシに洗浄液を入れ、ノズルをピンセットなどで固定して吹き付けてあげると洗浄出来ます。
エアブラシメンテナンスキットは下記から購入出来ます。
ハズレのエアブラシ
エアブラシは機械物ですからどうしてもアタリハズレがあります。メーカーとしては普通に塗料が出てくれば不良品扱いはしないとの方針ですので、調子の出ないエアブラシの場合もう1本新品を購入して下さい。もちろんメーカーでも塗料が出て来ないなど、通常の操作が出来ないエアブラシは交換してくれます。
弊社の販売しているAWシリーズはハズレのエアブラシが出荷されない様に出荷前に吹き付けテストを行っております。万が一ハズレのエアブラシに当たってしまっても、90日以内なら良品と交換出来ます。
ハズレのエアブラシはノズルとノズルキャップの位置が悪かったり、ノズルキャップの穴が小さかったりバリが付いていたりと、キャップ内の負圧が正常で無い場合が多いです。実際のエアブラシを見てみないと原因を特定出来ませんので、エアブラシワークスでメンテナンス出来る事は実際にエアブラシスクールに来られる生徒さんのエアブラシのみです。
エアーが出ない(空気が出ない)
押しボタンを押してもエアーが出ない症状です。
ノズルキャップ内の汚れ
空気が出ない症状の9割はノズルキャップ内の汚れです。洗浄液で洗浄して下さい。

細い線が出ない
ニードルが曲がっている場合
細い線が出ない9割の原因はニードルの曲がりです。肉眼では見えない曲がりでも少し曲がっているだけで細い線が描けません。

まず肉眼でも見てみます。それでも分からない場合は指でニードルを触ってみます。人間の指先は数ミクロンの段差が分かるといいます。ニードルが曲がっている場合指で触ると段差が分かります。
ニードルが曲がっていた場合ニードルを交換して下さい。

ニードルの曲がりを確認するにはマイクロスコープがあると一目瞭然です。ネットで数百円で購入出来ます。
ノズルが広がっている
ニードルを曲げてしまう時にノズルも傷付いている場合があります。マイクロスコープで覗くとノズルの先端がボロボロになっている物もあります。ノズルの先端にバリがあったりするとエアーの流れが広がって線が太くなります。この場合はノズルの交換が必要です。
線が途切れる
線が画像の様に途切れる場合の対処法です。

この問題の原因が一番分かり難いです。
エアー圧が低い又は塗料の粘度が濃い
線がバババっと途切れる場合、エアー圧が低い場合か塗料の粘度が濃い事が多いです。まずはエアー圧と希釈具合をチェックして下さい。
塗料カップからエアーが逆流している
下の画像の様にエアーだけ出している状態でも塗料カップからブクブクとエアーが逆流している場合があります。塗料を出す時にエアーがかんでしまいますので、線が途切れてしまいます。

この場合の対処法は機種によってさまざまですので、説明も難しいです。

塗料が逆流する場合の対処法は様々ですが、まずはノズルからエアーが侵入するパターンが多いので、ノズルをレンチで締め付けます。強く締め過ぎるとノズルが簡単に折れますので注意して下さい。

XP-825の場合、この部分が緩んでいるとエアーが逆流します。ミニモンキーなどで締め付けて下さい。

また、XP-825の場合だと画像の部分に傷が付いている場合があります。その場合はノズルスタンドOリングを交換して下さい
エアテックス製以外の機種はノズルにOリングが付いていないので、ノズルのネジ部分にノズルシール剤を塗布しないとエアーが逆流します。

エアテックス製のノズルにOリングが装備されています。
ノズルシール剤の付け方

ノズルシール剤の付け方と付ける時の注意点を説明します。ノズルシール剤は弊社から販売しているエアブラシメンテナンスキットの中に組み込まれています。

ノズルを取り外し、ネジの根元の部分に古いニードルなどを使って塗ります。ノズルの穴の方にパテが入ると、詰まってしまうので気を付けて下さい。

ノズルのネジを取り付けます。ノズルのネジを閉めると余分なパテが出てきます。

余分なパテは拭き取ります。シール剤は乾かない仕様になっていますので、乾燥させなくてもすぐに使用出来ます。
イワタHP-CS、HP-BCSの場合
イワタHP-CSやHP-BCSはノズル部分が簡単に分解出来ます。組み付ける時にノズルと本体の間に異物が挟まると(画像の矢印部分)、エアーが塗料カップから逆流してくる事があります。もう一度分解して掃除をして下さい。

それでも直らない場合、ノズルを固定しているネジを強く締めて下さい。
カスタムマイクロンの場合

カスタムマイクロンの場合、ノズルとノズルキャップの部分がまとめて取り外し出来ますので、ノズルの部分から逆流する可能性は低いです。
しかしカップに付いているパッキンが痛んでくるとエアーが逆流します。この場合はパッキンを交換ししてください。(画像参照)
ノズルの交換
何をしても線が途切れる場合、ノズルの先端が割れている場合があります。何をしても治らない場合はノズルを交換して下さい。
エアブラシのハズレ
それでも途切れる場合は残念ですがエアブラシのハズレです。新品を購入して下さい。
塗料が漏れる
エアーだけ出しているのに塗料も出て来てしまう場合があります。そんな場合の対処方法です。
ニードルの調整がずれている
テールキャップを外してニードルを調整して下さい。ニードルの調整の仕方はエアブラシのニードルの調整をご参照下さい。
ゴミが詰まっている
ノズル内にゴミが詰まっている場合があります。ノズルの穴を蛍光灯など照明に照らしてみて、ノズルの穴に何か詰まっていないか見て下さい。ゴミが詰まっている場合、下の画像の様に、古いニードルを使ってゴミを除去してやって下さい。


ノズルの掃除はもう1本のエアブラシに洗浄液を入れてノズルの穴に向かって吹き付けると効果的です。
ノズルが変形又は割れている
何ををしても塗料が漏れる場合はノズルが変形しているか、割れています。その場合はノズルを交換して下さい。
ニードルが動かない
ニードルパッキンに塗料が固まっている
エアブラシをしばらく使っていないと、エアブラシ本体内の塗料が固まってニードルが動かなくなります。エアブラシスクールでも、前回のスクールから練習していない生徒さんのエアブラシは良くこの現象が起こります。
対処方法は簡単です。

ペンチなどでニードルを抜きます。

画像の部分に塗料が付着していますので、洗浄液で洗浄します。洗浄すれば問題無く使えます。
ニードルパッキンを締め過ぎ
エアブラシの分解組み付けの際ニードルパッキンを締め過ぎているとパッキンが潰れてニードルが動かなくなります。少し緩めて使用するか、締め過ぎていてパッキンが潰れていた場合は交換が必要です。
エアーが止まらない
ニードルパキンの緩み
エアブラシをしばらく使っていると押しボタンを離してもエアーが止まらない現象に必ず遭遇します。
これは塗料カップのエリアとテールエリアの間にあるニードルパッキンネジが緩んで、テールエリアに塗料が流れ込んで来る為、押しボタンのパッキンに塗料が付着して、押しボタンの動きが渋ぶる為起こる現象です。
女性の方など機械が苦手な方は、原因も分からず何かおかしいと、そのままエアブラシを辞めてしまう方もいます。

とりあえずの応急処置としては押しボタンのOリング部分にオイルを指して下さい。

オイルはスプレーガン専用オイルが良いです。こちらのオイルは塗料を弾かない成分になっています。
塗料がテール部分に侵入して来る場合はテール部分が塗料まみれになっていますので、すべて分解して清掃しなければなりません。

エアブラシに洗浄液を入れて汚れたパーツを綺麗にして下さい。

テール部分に塗料が漏れ出す不具合に関しては下記のページの「エアブラシメンテナンスAll-in-oneキット」の取扱説明書の中で修理方法を詳しくまとめましたので、参考にしてみてください。
エアブラシから水が出てくる
レギュレターの水抜き
コンプレッサーで空気を圧縮すると、空気中の水分が水となり、エアーフィルターに溜まって来ます。
はじめはフィルターレギュレターの中に溜まるだけでエアブラシからは出てきませんが、溜まりすぎるとエアブラシから出てきます。
そうなる前にフィルターレギュレターの水抜きをして下さい。
梅雨時など湿気の多い時期はいくら水抜きをしてもエアブラシから出てきてしまいます。その場合はエアータンクを接続して下さい。エアータンクを接続するとほぼ水が出てこなくなります。エアータンクについては「コンプレッサーのセッティング」を参照して下さい。
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